【行政書士が解説】ものづくり補助金とは?補助対象者や補助対象投資などについて

ものづくり補助金(第23次公募)

製品・サービス高付加価値化枠をわかりやすく解説

中小企業の設備投資を支援する代表的な制度である「ものづくり補助金」。
2026年2月に第23次公募が開始され、特に賃上げ要件の強化など制度の変更が注目されています。

この補助金は、中小企業が革新的な製品やサービスを開発するための設備投資を支援する制度であり、生産性向上や企業の成長を後押しすることを目的としています。

本記事では、第23次公募の「製品・サービス高付加価値化枠」について、制度概要から申請要件、賃上げ要件までをわかりやすく解説します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト

公募要領
よくあるご質問

ものづくり・商業・サービス生産向上促進補助金総合サイトより引用

経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlusから引用

第23次公募の申請期間

第23次公募のスケジュールは次のとおりです。

・公募開始
2026年2月6日

・電子申請受付開始
2026年4月3日 17:00

・申請締切
2026年5月8日 17:00

・採択結果公表
2026年8月上旬予定

申請は電子申請のみで行われ、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者が行う革新的な製品・サービス開発や生産性向上のための設備投資を支援する制度です。

主な目的は次のとおりです。

・新製品・新サービスの開発
・生産性向上
・高付加価値化
・新たな市場の開拓

単なる設備更新ではなく、企業の競争力を高める新しい取り組みが対象となります。

申請から補助金受給までの流れ

補助金は、申請すればすぐに受給できるわけではありません。
申請から実際の補助金支払いまでには、いくつかの手続きがあります。

以下が全体のおおまかな流れとなっています。

事前準備
(GビズID取得・事業計画作成)

電子申請
(Jグランツ)

審査

採択

交付申請

交付決定

補助事業実施
(設備導入・開発)

実績報告

確定検査

補助金額確定

補助金請求

補助金支払い
    ↓
毎年の状況報告

重要なポイントとして、交付決定前に契約や発注を行った設備は補助対象外になります。

また、補助金は後払いとなるため、補助金が振り込まれるまでの間の資金繰りにも注意が必要となってきます。

補助上限額

補助上限額は、企業の従業員数によって変わります。

従業員5人以下上限750万円
従業員6~20人上限1,000万円
従業員21~50人上限1,500万円
従業員51人以上上限2,500万円

補助金の下限額は100万円です。

補助率

補助率は事業者区分によって異なります。

中小企業補助率 1/2
小規模事業者補助率 2/3
再生事業者補助率 2/3

大幅な賃上げによる特例措置

賃上げに積極的に取り組む企業には、補助上限額の引き上げ制度があります。

一定の条件を満たす大幅な賃上げを行う場合、補助上限額が最大で上乗せされる特例措置が設けられています。

この特例を利用することにより、補助上限額が100万円~1,000万円(従業員数により変動)上乗せされます。

ただし、賃上げ計画が未達となった場合には、補助金の返還を求められる可能性があるため注意が必要です。

具体的には、ものづくり補助金の申請要件である『一人あたりの給与支給総額年平均成長率3.5%』に加えて2.5%以上合計で年平均成長率6.0%以上)を目標値として設定し、従業員に対して表明のうえ、目標を達成する必要があります。

また、併せて事業所内最低賃金を都道府県が定める最低賃金から+50円以上とする必要もあります。

いずれか一方でも未達となってしまった場合、受け取った補助金を返還する必要があります。

また、あらかじめ従業員に対して表明を行っていなかった場合には、交付決定が取り消され、補助金を返還しなくてはいけません。

補助対象設備

補助対象となる主な経費は次のとおりです。

必須経費

・機械装置費
・システム構築費

その他の対象経費

・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権関連費

補助対象者

対象となる事業者は次のとおりです。

・中小企業
・小規模事業者
・個人事業主

対象業種は幅広く、製造業、建設業、サービス業、卸売業、小売業など多くの業種で活用できます。

補助対象外設備

次のような設備は原則として補助対象外です。

・パソコンなどの汎用機器
・事務机などの事務設備
・車両(公道走行ができないものや法律上車両、運搬具に該当しないトラッククレーン・ブルドーザー・ロードローラー・トラクター等は補助対象となる可能性があります)
・不動産
・建物
・単なる設備更新

補助対象外者

以下の事業者は補助対象外です。

・大企業
・みなし大企業
・反社会的勢力
・税金滞納がある事業者
・過去に補助金不正受給を行った事業者

補助対象外事業

次のような事業は対象になりません。

・単なる設備更新
・新規性がない事業
・生産効率化のみの事業

この補助金では、革新的な新製品・新サービスの開発が求められます。

補助対象要件

申請するためには、3~5年の事業計画を作成し、以下の要件を満たす必要があります。

①付加価値額の増加

付加価値額を

年平均3%以上増加

させる必要があります。

付加価値額の計算式

営業利益
+人件費
+減価償却費

②従業員1人あたり給与支給総額の増加

従業員(非常勤含む)一人あたりの給与支給総額の年成長率を3~5年の間の年平均成長率を3.5%以上増加させる目標を設定し、それを従業員にあらかじめ表明する必要があります。

そして補助金が採択されたら、目標値に向かって実際の賃上げを行う必要があります。

万が一、賃上げが目標値に届かなかった場合、その額に報じて補助金を返還する必要があります。

③事業場内最低賃金

事業所内における最低賃金を都道府県が定める地域最低賃金より+30円以上としなくてはいけません。

”毎年”最低賃金より+30円の水準を維持する必要があります。

こちらの目標値も、1人あたりの給与支給総額と同様に従業員にあらかじめ表明をする必要があります。

最低賃金を+30円にできなかった場合や従業員に対する表明を行っていなかった場合には採択の取り消しや補助金返還の対象となりますのでご注意ください。

④仕事・子育て両立支援要件

従業員21人以上の企業は、
一般事業主行動計画を策定し公表する必要があります。

賃上げ要件の詳しい解説

第23次公募で最も大きく変更されたのが、賃上げ要件の厳格化です。

従来の公募では

・給与支給総額
・1人あたり給与

のいずれかで要件を満たすことができました。

しかし第23次公募では

「1人あたり給与支給総額の年平均成長率」

のみが評価対象となっています。

つまり、

・従業員を増やして給与総額を増やす
・残業時間を増やして給与総額を増やす

といった方法では要件を満たすことができません。

一人当たりの給与支給層額とは、従業員に支払った給与のうち役員報酬や福利厚生費、退職金を除いた金額を従業員数で割った金額の事を指します。

※従業員の賃上げが申請要件となっているため、従業員数が0人の事業者は本補助金を申請することはできません。

賃上げの事例

例えば、現在の平均給与が400万円の企業の場合を考えてみます。

年率3.5%の賃上げを行うと、

・現在:400万円

・1年後:414万円 (前年比+3.5%)

・2年後:429万円 (前年比+3.6%)

・3年後:445万円 (前年比+3.7%)

3年の平均上昇率→3.6% 要件達成

といった水準の賃上げ計画が必要になります。

加点項目

審査では次のような取り組みが評価される場合があります。

・経営革新計画の承認

・再生事業者

・事業承継・M&Aにより事業を引き継いだ事業者
・パートナーシップ構築宣言事業者
・DX認定取得事業者

・健康経営優良法人認定事業者

・技術情報管理認証事業者

・大幅な賃上げに取り組む事業者

・被用者保険に取り組む事業者

・えるぼし認定を取得している事業者

・くるみん認定を取得している事業者

などなど

補助対象経費の注意点

補助対象経費にはいくつかの重要なルールがあります。

・交付決定前の契約や購入は一切補助対象外
・原則として投資する物件の2社以上からの相見積が必要(中古品を購入する場合には3社以上)
・市場価格の妥当性が必要
・事業との関連性が必要

・補助対象経費は前払い。補助金が振り込まれるまでの間の資金繰りに注意

ものづくり補助金の注意点

最後に、申請時の重要ポイントです。

①補助金は後払い
設備投資を行った後に補助金が支払われます。

②採択率
採択率は公募回によって異なりますが、概ね30~40%程度で推移しています。

補助金は申請すれば必ずもらえるわけではありません。

③事業計画が重要
審査は主に書面審査で行われます。

④事業化状況報告
採択後は数年間、事業化状況の報告が必要になります。

⑤補助金は事業所得

補助金を受け取った場合、事業所得となり、課税対象になります。翌年の税金類が上がる可能性があります。

⑥交付決定通知前の投資は補助対象外

補助事業を始める(設備の購入や契約等)を行えるのは『交付決定通知』を受け取ってからになります。それ以前に購入した物や契約した物、支払った物等は一切補助金の対象外となりますの必ず通知の受領を確認してください。

行政書士と補助金の関係

小規模事業者持続化補助金に関わらず補助金の申請を行うためには、補助金制度についてしっかりと理解をし、関連法令の内容を把握し、補助金の公募要領や詳細、Q&Aなどを読み込んだうえで、膨大な申請書類の収集・作成を行う必要があります。

もちろん事業計画書などの申請に必要な書類は審査対象となるため適当なものをではいけません。

日々、多忙な業務に追われる経営者がこれらの作業を全てやることはなかなかにハードルが高いものであると思います。

そういった中で補助金の申請サポートをしてくれる業者を頼るのもひとつの手であると思います。

では、補助金のサポートを依頼する先として思い浮かぶのはどこでしょうか?税理士でしょうか?社労士でしょうか?中小企業診断士でしょうか?コンサルティング会社でしょうか?

実は、補助金申請に必要な書類作成は行政書士法を根拠法令とする『行政書士の独占業務』となります。

行政書士法 第一条の二 (業務)

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

行政書士法 | e-Gov 法令検索

補助金申請に関する書類は『官公署に提出する書類』に該当するため、行政書士又は行政書士法人でない者が作成を行った場合には行政書士法違反となり、罰則の対象となります。

ただ、現状では補助金コンサル会社をはじめとする無資格者による書類作成が横行しているのもまた事実です。

そこで令和7年6月に行政書士法の一部を改正する法律案が国会で成立し、令和8年1月1日から施行されました。

これにより行政書士法のいくつかの部分が改正されることになったのですが、その中でも特に注目すべき点は、いままでグレーゾーンとして行われていた無資格者による書類作成を明確に禁止した事です。

これまでは補助金コンサルティング会社などが【コンサル料】、【顧問料】等々【書類作成費】とは別の名目で報酬を得て補助金に関する必要書類を代理作成している場合がありました。

しかし、今回の行政書士法改正によって

『行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て業として第1条の3に規定する業務を行うことができない』

といった内容が明文化されたため、行政書士資格を有しない者がコンサル料、顧問料、などといった名目で報酬を得て書類作成を行うといった抜け道が完全に違法となりました

単なる補助金の相談業務であれば行政書士資格を有していなくても報酬を得て行うことは可能です。

ただこのような法改正もあり、今後は補助金の申請サポートを必要とするのであれば行政書士に依頼するのがもっとも確実かと思います

無資格者が行政書士業務を行うことは違法行為であることは当然ですが、無資格者に行政書士業務を依頼をしてしまうと、依頼者自身も違法行為に加担してしまうことになります。

事業者の社会的信用にも関わる部分ですので、しっかりとご自身で判断をしましょう。

まとめ

ものづくり補助金(第23次公募)の製品・サービス高付加価値化枠は、中小企業が行う革新的な製品・サービス開発や生産性向上のための設備投資を支援する制度です。

今回の公募では、2026年4月3日から電子申請受付が開始され、申請締切は2026年5月8日17時までとなっています。申請は電子申請のみで行われるため、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。

補助対象となる事業者は、中小企業や小規模事業者、個人事業主などで『ものづくり補助金』という名称ながら、製造業はもちろん、建設業や飲食業、サービス業等々幅広い業種で利用できる可能性があります。ただし、従業員の賃上げが要件となっていますので、従業員を雇っていない(従業員数0人)事業者の方は補助対象外となります。

補助対象となる主な経費は機械装置費やシステム構築費などの設備投資です。ただし、パソコンなどの汎用機器、車両、建物、不動産、単なる設備更新などは補助対象外となるため注意が必要です。

また、申請にあたっては3~5年の事業計画を作成し、
・付加価値額の年平均3%以上の増加
・従業員1人あたり給与支給総額の年平均3.5%以上の増加
・事業場内最低賃金を地域最低賃金より30円以上高くする

といった要件を満たす必要があります。特に第23次公募では、1人あたり給与支給総額の増加を求める賃上げ要件が重要なポイントとなっています。

さらに、補助金は採択後すぐに支払われるものではなく、設備導入などの事業を実施し、実績報告と検査を経てから支払われる後払い方式となっています。また、交付決定前に契約・発注を行った設備は補助対象外となるため、事業の進め方には十分な注意が必要です。

ものづくり補助金は補助額が大きい一方で、採択率や要件などを踏まえた綿密な事業計画が求められます。制度の内容を十分に理解し、計画的に準備を進めることが採択への重要なポイントとなります。

行政書士事務所オータムは、静岡県浜松市に事務所を置く行政書士事務所になります。

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