【専門家が解説!】株式の出資単位の調整について

新NISAが始まり、一般の方でも株式投資をする機会が増えて身近なものとなってきた昨今、”株式”という言葉を聞いたことがある方は大勢いらっしゃるかと思います。

では、株式の出資単位について正しく理解されている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

株式の出資単位やその調整に関する事項は株式会社の経営者はもちろん、株式会社に投資をしている投資家にとっても非常に重要な内容となってきます。

これから会社を設立する方々、現在会社を経営されている方々だけでなく、新NISAなどを機に株式投資を始めた方やこれから株式投資を始めてみようと考えている方などもしっかりとした株式の知識を身に着けてい頂きたく思います。

ということで、会社の設立&中小企業支援を専門にしている弊所代表が株式の出資単位の調整について解説致します。

出資単位の調整

そもそも、出資単位の調整とはどういうことなのか……そこからご説明いたします。

市場に出回っている株式には市場価格(1株〇〇円)というものがありますよね。この金額は日々変動するとはいえ、基本的に急激な上下はありません。

この市場価格があまりにも高すぎると、ヘッジファンドや法人・資金の潤沢な投資家ならまだしも個人の投資家ではなかなか手が出せなかったりしますよね。

逆に、極端に安い株価であると株主の総数がとてつもなく増えてしまい、株主を管理することが大変になってしまいます。

そこで非常に重要になってくるのが1株あたりの価格や議決権数であり、これを企業側が意図的に調整する方法がいくつか存在します。

株式の併合

会社法第180条 (株式の併合)

 株式会社は、株式の併合をすることができる。

2 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 併合の割合
二 株式の併合がその効力を生ずる日(以下、この款において「効力発生日」という。)
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
四 効力発生日における発行可能株式総数

3 前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

4 取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

会社法第180条を根拠条文として、株式会社は発行済みの複数個の株を合わせて株数を下げることが可能です。

例:これまで100株だった株式を併合して50株にする。

株式を併合することにより、株の単価をあげることができます。(いままで100株発行していたものを50株に株式併合した場合、単純計算で株価は2倍になります)

ただし……株式併合は、株価が上がるからと言って既存の株主にとって必ずしも良い状況というわけではありません。

少し考えてみると分かるのですが、仮に1株あたり100円の株式を100株保有していたとします。株式の総額は10,000円ですよね。

これが株式併合によって株式が半分になり、1株あたりの株価が倍の200円になったとしましょう。

そうすると保有している株式総数は50株、1株当たり200円となり、株式の総額は10,000円となります。

つまり、株式の併合が行われたからといって基本的には既存の株主の資産が増えるわけではありません。

そして問題なのはこちらの点……株式併合により持株数=議決権数が減ってしまうのです。

いままで100株(100議決権)をもっていたものが50株(50議決権)になってしまうのですから当然といえば当然ですよね。

このように株式の併合は既存の株主にとって不利益になってしまう可能性が高いです。

そのため、株式の併合を行う際は、会社法第309条 第2項 4号の定めにより、株主総会の特別決議が必要となります。

株式の分割

会社法第183条 (株式の分割)

 株式会社は、株式の分割をすることができる。

2 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならな 
  い。
一 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割
  に係る基準日
二 株式の分割がその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

株式会社は会社法第183条を根拠条文として、すでに発行している株式を分割することができます。

株式の分割は株式の併合をは逆に株式の数を増やすことです。

例:いままで100株だったものが株式の分割により200株となる。

株式の分割により、基本的に株価は下がることとなるため、これまでよりも投資家が株式を買いやすくなるというメリットがあります。

そして、既存の株主の資産額にも影響はでず(1株100円の株式を100株もっていて、株式分割により1株50円、200株となったとしても株価の総額は変わらないため)

むしろ、100株から200株になることによって議決権数が増えるため、株式の分割は既存の株主にとって利益になります。

そのため、株式の分割は株主総会の普通決議(取締役会設置会社の場合は取締役会)で行うことができます。 この点も株式併合と異なる点になります。

株式無償割当て

会社法第185条 (株式無償割当て)

 株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当てをすることができる。

会社法第185条を根拠条文として、株式会社は既存の株主に対して、無償(追加の出資なし)で株式を渡すことができます。

株式数が増えるため、株式無償割当てによって得られる効果は株式分割と同様であり、既存の株主にとっては利益となるため、株主総会の普通決議(取締役会設置会社の場合には取締役会)によって行うことができます。

単元株式

会社法第188条 (単元株式数)

1 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨
  を定款で定めることができる。

2 前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。

3 種類株式発行会社において、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。

会社法第188条第1項を根拠条文として、株式会社は一定数の株式を集めたものを1単元=1議決権とすることができます。

株式投資を行っている方はイメージしやすいと思いますが、株式を購入しようとする際に100株単位でしか買えない企業が多いかと思います。

これは企業が100株=1単元=1議決権と定めている場合が多いからです。つまり、保有株式100株ごとに株主総会で1票の投票権を持つということになります。

会社法第188条2項の条文では、1単元とする株式の数についてい制限をしています。

その数については会社法施行規則34条に記載されています。

会社法施行規則第34条 (単元株式数)

 法第百八十八条第二項に規定する法務省令で定める数は、千及び発行済み株式総数の二百分の一に当たる数とする。

つまり、1単元に必要な株式総数は1,000株以下かつ発行済み株式総数の200分の1以下にしなければいけません。

1単元に満たない株式のことを単元未満株と呼びますが、この単元未満株を保有している株主は会社に対して単元未満株の買取請求を行うことができます。

単元未満株には議決権がなく、第三者への売買も難しいため、単元未満株主にとっては不利な状況を回避する処置として買い取り請求が認められています。

ちなみに、単元未満株には議決権は与えられませんが、剰余金配当請求権や残余財産分配請求権などは認められています。

会社法第192条1項 (単元未満株主の買取請求)

1 単元未満株主は。株式会社に対し、自己の有する単元未満株を買い取ることを請求することができる。

買取り請求だけでなく、定款による定めがあれば単元未満株を保有している株主は会社に対して、単元未満株が1単元となるまで株式を売り渡すように請求することができます。

会社法第194条 (単元未満株主の売渡請求)

1 株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株

単元株制度を採用・廃止・必要株数の変更を行う場合には、いずれも定款変更が必要です。ただし、変更する内容によって手順が少し変わってきますのでご注意ください。

単元株制度の導入の決定や既に決まっている1単元に必要な株数を増加する場合には株主総会の特別決議による定款変更が必要となってきます。

これは、単元株制度を採用したり、必要な株数が増えることによって既存の株主の議決権数が減ったり、単元未満株となって議決権そのものを失ってしまったりと株主にとって不利益な状況になるためです。

対して、単元株制度の廃止や1単元に必要な株数を減らす場合には取締役の決定(取締役会設置会社であっては取締役会)により定款変更を行うことができます。

こちらは既存の株主の議決権数が増えることになりますので、株主にとっては利益となるため、簡易な手段で変更ができるようになっています。

まとめ

上記4パターンが株式の出資単位の調整になります。

これらの事態は株式上場しているような大きな会社でも十分起こりうる可能性のある事項ですので、出資単位の調整にはどういった手順が必要なのか、株主や経営者に対してどのようなメリット・デメリットがあるのか、そういったことをしっかりと把握したうえで検討することが大事です。

議決権数が深く関わってくる株主総会について解説しているコラムはこちらになります。

株式の種類について詳しく解説しているコラムはこちらになります。

いずれも、経営者だけでなく、投資家の皆さんにとっても大事な知識になりますので、ご興味がある方はぜひ覗いてみてください。

行政書士事務所オータムは会社設立&中小企業支援に特化した行政書士事務所になります。

もし株主総会や株式に関する事項はもちろん、会社の設立関連や会社経営に関することなどで困りごとなどがあればお気軽にご相談ください。

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