【行政書士が解説】個人事業主が法人化するメリット・デメリット・法人化のタイミングについて!

本コラムをご覧いただき、まことにありがとうございます。
弊所は静岡県浜松市で営業を行う行政書士事務所になります。
さて、本日のコラムは【個人事業主が法人化するメリット・デメリットについて】になります。
頑張れば頑張った分だけ売上=収入に繋がるのが個人事業主の大きなメリットのひとつ。
個人事業主にとって事業の区切りとなる12月に『今年は結構利益出たなー』と思う方や所得税・社会保険料の金額が通知されたときに『今年の税金、社会保険の額高いなぁー』と思う方も少なくないと思います。
そんな方々はそろそろ法人化を検討してみるのも良いかもしれません。
というわけで、本日は個人事業主が法人化する際のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
法人化とは?
個人事業主の法人化とは、簡単に説明すると会社を設立して事業を運営することです。
会社とは、会社法に基づいて設立することが出来る営利組織で、大きく分けて株式会社と持分会社の2種類になります。
営利組織とは、株主や社員(出資者)に利益分配を目的することを指します。簡単にいうと、お金を稼ぐことを目的とする組織ということです。
会社を設立すると、その会社は法人格を有することになります。
法人格とは、ひとりの人間と同様に法的主体として扱われるため、会社名義で契約を結んだり、会社名義で財産を所有したり、会社名義で預金口座を作ったりすることができます。
根拠:民法34条
「法人は、法律の定めるところにより権利能力を有する」
会社の種類については下記のコラムで詳しく解説を行っています。
【行政書士が解説】会社を設立するなら、株式会社?それとも合同会社?両者の違いとは?
法人化のメリット
1. 節税効果

法人化するメリットとしてまず真っ先に思い浮かぶことが節税効果だと思います。
個人事業主は超過累進課税制度(所得が一定額を超えた場合、その超えた部分の税率があがる制度)によって、高収入になればなるほど、比例して所得税率が増えていき、最大で45%まで課税されます。
(これに加えて、一律の住民税が10%ほど課税されます)
つまり、個人事業主は稼げば稼ぐほど所得税を多く支払うこととなります。
対して、法人化(会社化)することにより所得税の代わりに法人税が課税されることになります。この法人税ですが、通常で23.2%(事業規模や所得に応じて変動の可能性あり)となります。
つまり、個人事業主の所得税が累進課税制度により20%を超えてくるあたりから法人化したほうが税制面でお得になる場合があり、法人化を検討し始めても良い頃合いかと思います。
2. 信用力の向上

法人化することによる大きなメリットのひとつとして、信用力の向上が挙げられます。
会社という組織で事業を行うことによって、取引先や顧客に対して信用力が向上し、結果的に売り上げに繋がりやすくなります。
また金融機関などに対する信用力も向上するため、個人事業主であったときよりも融資を受けやすくなり、新たなビジネスチャンスにもつながることが期待されます。
更に、法人化することによって法人限定等のサービスも利用できるようになるため、ビジネスの幅もより広がっていきます。
3. 有限責任によるリスク軽減

会社の大きな特徴の一つとして、法人格を有することにより、法人格として各種法律行為が行えるようになります。
これまで個人事業主は個人の名義で契約を結んだり、借入を行ったりしていましたが、法人化した後は会社の名前で契約や資金の借入などが行えます。
つまり、もし事業が傾き会社が倒産してしまった場合でも、個人に及ぶ損害は最小限で済むということです。
(※会社の形態によっては負債を全て個人が全て負わなくてはいけない場合があります)
このように、法人化することによって個人へのリスクを減らすことができます。
4. 事業承継の容易さ

法人化していると、株式や持分の譲渡という形で事業承継を行うことができます。
法人の場合、株式等の譲渡によって組織の所有権を丸ごと次の人間に移管するため、スムーズに事業承継を行えるのが大きな特徴となります。
個人事業でも事業承継を行うことは可能ですが、契約主体が個人名であるため銀行口座、賃貸借契約書、リース契約、営業許可等々すべての名義を新しい人間のものに変更する必要があります。
対して法人の場合、契約主体はすべて会社名となりますので株式の取得などにより会社の所有者が変わっても各種契約書や営業許可証の名義を変更する必要はありません。
事業の売却や次の世代への承継を視野に入れている場合には、手続きの面で圧倒的に法人のほうが有利となります。
デメリット
法人化には多数のメリットがあります。
その反面、デメリットも存在します。法人化にあたっては以下の内容にも注意をしなくてはいけません。
1. 手間や事務負担が増える
法人は「会社」として扱われるため、
- 決算書の作成(複式簿記が必須)
- 法人税申告書の作成(個人より複雑)
- 役員変更や本店移転などの法務手続き
など事務作業が増えます。
法人の決算において記帳内容の複雑さや取引量の多さから税理士によるサポートはほぼ必須と言えます。
また、役員の変更などには毎回登記を行う必要がでてきますし、会社の目的、商号、本店移転などには定款の変更手続きが必要になってきます。
そして株式会社の場合、最高意思決定機関は株主総会となりますので、重要な事柄を決定するためには毎回株主総会を開催し、議事録を作成する必要があります。
このように、個人事業主の場合には何気なく出来たことでも法人化することにより事務負担が増えることは確実となります。
もちろん、それらを税理士・司法書士・行政書士といった各分野の専門家に依頼することによって作業負担を減らすことは可能ですが、その分の費用が発生してきます。
2. 設立・維持コストがかかる
法人を作るには初期費用・毎年の維持費が必要です。
- 設立費用:株式会社で約20~25万円、合同会社で約6~10万円
- 税理士費用:月1~3万円+決算料10~20万円程度
- 法人住民税の均等割:赤字でも毎年最低7万円
会社の設立にはある程度の費用が発生します。
株式会社で20数万円程度、合同会社で10万円前後を見込んでおく必要があります。
会社の設立には【定款】と呼ばれる会社の決まり事を記した重要な書類を作成する必要があります。
また、会社の設立登記なども必要となるため、手続きはかなり煩雑なものとなってきます。
これらを行政書士や司法書士といった専門家に依頼する場合、追加で10数万円程度の依頼費が発生してきます。
また、先述したように法人の決算はかなり複雑であるため税理士を雇うのが一般的です。
通常税理士は顧問契約という形が多いため、毎月数万円の税理士費用も発生してきます。
そのほかにもいろいろな場面で専門家の力を借りることが増えてくるかと思いますので、個人事業に比べて維持コストは高くなることは覚悟しておく必要があります。
3. 社会保険(厚生年金・健康保険)の強制加入
法人は 従業員が1人(社長だけでも)いれば社会保険加入が義務 になります。
そのため、
- 社長の給与に対して会社負担+個人負担の社会保険料が発生
- 合算すると個人事業主のときより保険料が高くなりがち
売上が少ない法人だと負担感が重く感じるポイントです。
ただ、個人事業主の場合には全額自己負担で社会保険料を支払っていたことを考えると、法人化することによって個人負担額が減るため、メリットと捉えることもできます。
また、法人化することによって一人社長であっても厚生年金に加入することができるため、将来的な年金の安心感は増すという点もメリットとして捉えられるかもしれません。
4. 赤字でも税金がかかる
個人事業主は赤字の場合には翌年の所得税は発生しません。
しかし、法人はたとえ赤字でも法人住民税7万円(均等割)が毎年かかるため固定費化します。
5. お金の自由度が下がる
法人のお金は「会社のお金」であり、自由に引き出せません。
- 社長が使うには「役員報酬」「経費」「貸付金」として処理が必要
- 役員報酬は原則として期中で自由に変更できない
- 法人と個人の財布の分離が強制される
法人化した場合、事業で出た売り上げは会社の資産となり、それを役員報酬という形で経営者が受け取ることが一般的です。
役員報酬は基本的に1年間固定となるため、個人事業主のようなお金の自由さは無くなってしまいます。
自分の欲しい金額をあらかじめ見込んでから役員報酬を設定すれば問題ないのですが、慣れないうちは不便さを感じてしまうかもしれません。
法人化のタイミング
個人事業主はどのタイミングで法人化するのが良いのか?という質問をよく受けることがありますが、これは人それぞれだと思います。
単純に節税・社会保険料の削減だけが目的だとすれば、個人事業の所得が概ね800万円~900万円を超えてきたら法人化を検討しても良い頃合いかと思います。
ただ、先述したように法人化には節税以外にも多数のメリットがあります。
特に『信用力の向上』はビジネスを行う上で需要な要素となってきます。
信用力の向上による売り上げ拡大や大口の融資による事業規模拡大が見込めるからです。
たとえ所得額的に節税効果は薄い時期であったとしても、法人化で得られるメリットがデメリットを上回るようであれば検討段階に入っても良いのかと思います。
逆に、例え法人化しても事業の拡大・成長を見込めないような状態であり、節税効果もさほど得られないような状況であれば、まだ法人化のタイミングではないのかもしれません。
まとめ

会社員として永年雇用が当たり前だった時代から自由な働き方で自分の好きなことを仕事とすることが比較的容易になった現代では個人事業主という形態をとっている方も少なくありません。
個人事業主として活動を行ってくる中でいつか訪れるかもしれない法人化のタイミング。
法人化にはメリットとデメリットが混在しているため、その人の事業内容や事業計画、考え方や事業の将来性などによって良し悪しがあります。
様々な可能性を考慮して最終的に法人化を判断するのが良いかと思います。
とはいえ、初めて法人化する方にとっては難しいことかと思います。
そんな場合には、専門家に相談するのもひとつの手です。
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