【行政書士が解説】会社を設立するなら、株式会社?それとも合同会社?両者の違いとは?

当コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。弊所は静岡県浜松市で営業を行う『会社の設立・創業支援』を専門とする行政書士事務所になります。
本日のコラムのテーマは【会社を設立するなら、株式会社?それとも合同会社?両者の違いとは?】となります。
これから会社を設立してビジネスを始めたい方、現在個人事業主で営業を行っているが、そろそろ法人化を考えている方など様々な理由で会社の設立を検討される方も多いかと思います。
会社設立を検討されている方が一番初めに考えなくてはいけないこと、それは……設立する会社の種類です!
今回は、現在主流となっている会社の種類とその違いについて解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
会社とは?

そもそも、【会社】とはなんなのかを簡単に解説したいと思います。
① 法的根拠
会社法2条1号で、会社とは
「株式会社、合名会社、合資会社、合同会社」
の4類型であると定義されています。
つまり、日本で「会社」という言葉を法的に使う場合は、会社法に基づいて設立された法人を指します。
会社に関する法律は、【会社法】という法律で様々な定めがあります。
② 法人格を持つ
会社は、設立登記をすることで 法人格(人とは独立した法的主体) を取得します。
→ 契約を結ぶ・財産を所有する・裁判の当事者になることが可能。
根拠:民法34条
「法人は、法律の定めるところにより権利能力を有する」
会社は人間とは別の存在として、会社自身が権利と義務を持つ点が最重要。
③ 営利法人である
会社法上の会社は 「営利を目的とする組織」 です。
ここでいう「営利」とは、
利益を構成員(株主等)に分配できること を意味します。
そのため、
- 営利目的ではない法人(一般社団法人・NPO法人)は 【会社】には分類されません。
会社は「利益を出し、それを出資者に還元できる」点で、他の法人と明確に区別されます。
■ 一文でまとめると
会社とは、会社法に基づいて設立され、法人格を持ち、利益を出してそれを出資者に分配することを本質とする営利法人 ということになります。
会社の種類
現行の会社法上、会社は大きく分けて2種類に分類されます。
それが、株式会社と持分会社です。
持分会社は更に、合名会社・合資会社・合同会社の3種類に分類されます。

持分会社という言葉はあまり聞き慣れないかと思いますが、種類分けされる合名会社、合資会社、合同会社それぞれの特徴は下記の通りになります。
■合名会社
根拠法令:会社法575条 合名会社は「社員が無限責任を負う」会社である。
持分会社のうち、社員(出資者)の全員が無限責任を負う形態の会社を合名会社といいます。
責任とは簡単にいうと会社の債務弁済であり、もしもの場合には会社の負債を社員(出資者)の個人資産で弁済する必要があります。
■合資会社
根拠法令:会社法576条1項2号 合資会社は「無限責任社員と有限責任社員を1名以上ずつ含む会社」である。
持分会社のうち、無限責任社員と有限責任社員が1名ずつ以上いつ会社の形態を合資会社といいます。
先に述べた無限責任社員に加え、自身の出資額を限度とした弁済責任を有する社員(有限責任社員)が混在しています。
■合同会社
根拠法令: 会社法576条1項3号 合同会社は「社員全員が有限責任を負う」会社。
持分会社のうち、社員の全てが有限責任社員とする形態の会社を有限会社といいます。
社員の全てが有限責任社員となりますので、万が一会社が負債を抱えて倒産した場合でも基本的に社員(出資者)は自身の出資金以上の弁済責任はありません。
このように、持分会社でも3種類のわかれておりますが、現在で主流となっているのは株式会社と合同会社の2種類になっていますので、本コラムではそこにフォーカスを当てて解説いたします。
株式会社・合同会社の比較
現在の会社法では、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類の会社形態があることは先述しました。
しかし、有限責任社員が主流の考え方が主流となっている現在において、無限責任社員を採用している合名会社および合資会社の形態で採用されることはほとんどありません。
上記の理由から、以下は現在もっとも人気のある形態である株式会社と徐々に人気が高まりつつある合同会社の2種類を比較していきたいと思います。
設立コスト
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 印紙代 | 40,000円 ※1 | 40,000円 ※1 |
| 定款認証手数料 | 30,000円~50,000※2 | なし |
| 登録免許税 | 150,000円~※3 | 60,000円~※4 |
※1 定款を電子定款で作成場合は不要
※2 資本金が100万円未満の場合は30,000円、資本金が100万円以上300万円未満の場合は40,000円、資本金が300万円以上の場合は50,000円になります。
※3 :資本金額×0.7%または150,000円、どちらか高いほうになります
※4 :資本金額×0.7%または60,000円、どちらか高いほうになります。
上記の他に行政書士や司法書士に会社の設立手続きを依頼する場合には、別途専門家依頼費が発生します。
比較をしてみると一目瞭然となりますが、設立コストとして株式会社は20万円ちょっとに対し、合同会社は10万円前後となり、圧倒的に合同会社の方が設立コストは安く上がります(両者ともに専門家費用は別)
会社の所有者と経営者
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 会社の所有者 | 株主 | 出資者=社員 |
| 会社の経営者 | 役員 | 出資者=社員 ※1 |
合同会社は会社の所有者および経営者はどちらも出資者(社員)となります。つまり所有者と経営者が同一であるということになります。
(※1 定款の定めにより、経営に関与しない出資者を置くことも可能)
対して株式会社は会社の所有者と経営者が原則的に異なることが特徴です。
株式会社の所有者は株主=出資者となりますが、直接会社の経営を行うのは会社の役員となります。
上場企業などで想像をしていただくと分かりやすいと思いますが、投資家が上場企業の株式を購入することにより株主となることができます。
株主となれば株主総会で議決権を持つことができますが、日々の細かな経営判断にまで逐一口を出すことはできません。
日ごろの会社経営を担っているのが会社の役員たちになります。
そういった意味で株式会社は会社の所有者と経営者が異なってくるわけです。
とはいえ、中小零細企業などでは必ずしも所有と経営が分離しているとは言い難いのも現実です。
広告義務
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 公告義務 | あり | なし |
公告とは、株式会社の決算(決算公告)や、合併や解散などといった重要な事項(法定公告)を株主や債権者などのために広く知らせなくてはならないという規定が会社法の中にはあります。 会社法第440条第1項・第2項・第3項
そしてよく勘違いされがちな点ですが・・・『公告義務はあるけど、罰則はないから公告はやらなくてよい』という声を聞きますが、これは間違いです。
公告義務を行わない場合の罰則規定として100万円以下の過料がしっかりと設けられております。 会社法第976条第2号
ただし、実際に公告を行わなかったためにこの過料を支払ったという実例はほとんどないため、事実上の無罰則という認識になっているのだと思います。
この公告の義務は株式会社にのみ適応されているため、合同会社には広告の義務はありません。
税金面
会社が支払う税金には、法人税を始めとして様々な種類があります。
これについては株式会社や合同会社などの会社形態による差はありません。
また、国民年金や健康保険等の社会保険料についても同様です。
役員の任期
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 役員の任期 | 2年 | なし |
株式会社の役員の任期は基本的に最長2年となります。
ただし、発行する株式の全てが譲渡制限株式の会社(非公開会社)である場合には、定款の定めにより役員任期を最長で10年に設定することが可能です。
ちなみに、任期満了後に役員を変更する場合には定款の変更は必要ありませんが、法務局にて登記を行う必要があります。任期満了後に同じ人物が再任される場合でも同様に法務局での登記が必要になります。
登記が必要になりますので、登記費用及び司法書士への登記依頼費が任期満了ごとに必要となります。
対して合同会社は役員の任期がありませんので、極端な話、会社が続く限りずっと同じ人物が役員をやり続けることができます。株式会社のように定期的な登記の必要もありませんので、登記費用も掛かりません。
つまり、役員の登記費用(会社のランニングコスト)という面でも合同会社は株式会社よりも費用を抑えることができます。
利益配分
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 利益の配分 | 株式数に比例 | 定款で自由に設定可能 |
会社は得た利益を出資者に配分することができます。ただし、その方法については会社の形態によって異なってきます。
株式会社の場合には、株主平等の原則が会社法で定められているため、原則として保有する株式数や株式内容に応じて株主を平等に扱わなくてはいけません。
※非公開会社の場合には、定款の定めにより変更可能。
会社法 109条 (株主の平等)
会社法 | e-Gov 法令検索
株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
対して、合同会社の場合には、出資割合に関わらず定款の定めにより自由に設定することが可能です。
極端な例となりますが、1万円を出資したAさんと99万円を出資したBさんが合同会社を設立した場合、定款の定めにより会社の利益のうち99%をAさん、残りの1%をBさんに分配するという設計も可能ということになります。
このように、合同会社では定款の自由度が高いという特徴があり、そのような点で合同会社を選択する方も多いかと思います。
社会的信用度
法的な立場としては株式会社と合同会社に優劣は一切ありません。
ただ、やはり合同会社という形態は日本ではまだまだ認知が低く、世間一般からすると株式会社に比べて合同会社への社会的信用度はやや低いという感じは否めません。
そういった影響はBtoC取引を主としている会社の場合には実感する場面も出てくるかもしれません。
もちろん、個人事業主という形態に比べれば法人組織である合同会社の方が、法的にも社会的にも信用度は高いです。
対外的な信用力を得るために株式会社を選択するという考え方もアリかと思います。
株式上場
株式会社の場合、会社の成長に伴い株式市場へ上場することが可能です。
株式上場は会社の株式を市場に開放することによってこれまで以上に資金調達が可能となり、企業を飛躍的により大きく成長させる機会となります。また、上場企業として社会的信用度も一気に増します。
対して、合同会社の場合には、そもそも株式を発行することが出来ないため株式上場を行うことができません。
株式の取引による資金調達が出来ないため、合同会社は株式会社に比べて資金調達手段が少なくなってしまいます。
まとめ
株式会社と合同会社の違いは細かい部分をあげればもっとありますが、特に気にすべき事項は上記の通りになります。
これらを表にまとめると以下のような感じになります。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約20万円前後 | 約10万円 |
| 会社の所有者 | 株主 | 社員(出資者) |
| 意思決定 | 株主総会・取締役会で決定 | 出資者(社員)全員の合意または定款で定めた方法 |
| 代表者名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
| 利益配分 | 出資比率に応じて配分が原則 | 出資比率に関係なく自由に配分可能(定款で設定可能) |
| 外部からの信用度 | 一般的に高い(広く知られている形態) | 株式会社よりは低いと言われがち |
| 機関設計(役員等) | 取締役・監査役など一定の役員が必要 | 役員構成自由、シンプルな運営が可能 |
| 決算公告の義務 | あり(官報掲載など) | なし(公告義務がない) |
| 税務面 | 法人税など内容は合同会社と同じ | 法人税など同じ。違いはほぼなし |
| 向いているケース | 規模拡大・資金調達、社会的信用を重視 | 小規模事業、家族経営、起業の初期コストを抑えたい場合 |
信用度や資金調達という点では株式会社が有利となりますが、設立費用、ランニングコストの安さ、定款の自由度の高さなどでは合同会社に軍配があがります。

どちらの形態にもメリット、デメリットがありますので、これから会社設立を考えている方の状況や事業形態などに合わせて株式会社、合同会社の選択をするのが良いと思います。
もちろん、会社設立は大きな決断になりますので、初めて会社を設立する方などはこれらの情報を見ても決め切れない場合があるとおもいます。
そんな場合にはぜひ弊所へご相談ください。
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