【相続土地国庫帰属制度】相続したけど活用していない土地ありませんか?

行政書士事務所オータムのコラムをご覧いただき、ありがとうございます。

弊所は静岡県浜松市に事務所を置いております。

さて、今回のコラムは【相続土地国庫帰属制度】について解説をしていきたいと思います。ぜひ最後までご覧いただければと思います。

日本の現状

高齢化問題

テレビ番組等でも頻繁に報道されているため関心がある方も多いかと思いますが、日本は世界有数の超高齢社会に突入しており、2025年には団塊の世代(1947~49年生まれ)がすべて75歳以上となる見込みです。2024年時点で、総人口の約30%が65歳以上です。

若い世代が減ることによる労働力の減少、社会保障費の増加、高齢者の介護や孤独死などの問題が顕著化してきています。

相続問題

人が亡くなった際に発生するのが相続。民法の規定により、亡くなった方の財産を分割又は放棄する手続きを行わなくてはいけません。

しかし、制度や手続きの煩雑さ、相続人間の利害の対立などにより、相続がスムーズに進まないケースも増えています。

空き家問題

全国で空き家の数が年々増加しており、2023年時点で約850万戸(全住宅の13.8%)が空き家とされています。今後もこの傾向は加速すると予想されています。

この要因として、相続が絡んでいるケースが多くあります。

『家や土地を相続したけど、遠方に住んでいるから活用できない』

『家を相続したけど、建物が老朽化していて住むことができない』

こういった理由から、家や土地を相続した後、活用をしていない事例がたくさんあります。

空き家を放置し続けるリスク

上記の問題には関連性があります。

日本の高齢化が進むことにより、亡くなる方が増加する⇒亡くなった方の数に比例して相続が増加する⇒空き家問題が増える

相続した建物や土地を活用していなくても毎年、固定資産税を支払わなくてはいけません。全く利用していない土地に対して税金を支払わなくてはいけないというのは非常にもったいないですよね。

しかし、活用していない土地を持ち続けることには、固定資産税以上のリスクがあることをご認識いただきたいです。

防犯・防災上のリスク

活用していないとはいえ、その土地や建物に何かあった場合、責任を取らなくてはいけないのは持ち主です。

その家が放火などによって火事になった場合、不審者が勝手に住み着いてしまった場合、建物が老朽化などで倒壊し、誰かに怪我をさせてしまった場合等々、全て持ち主の責任となります。

景観悪化・不衛生

雑草が延び放題になったり、ごみを不法投棄されて悪臭を放ったり、虫が大量発生したり、野生動物が住み着いたり、近隣住民への悪影響が出ることも十分考えられます。

そのような事態になった場合、当然、対処する責任があるのは家や土地の持ち主です。

新たなる相続問題

空き家を放置し続ける、ということはその土地を持ち続ける……つまりご自身が亡くなった際にその活用できない土地や建物をさらに次の世代に相続させるということです。

ご自身ですら手に余した土地を、ご自身の配偶者やお子様などに相続させることが良いことでしょうか?問題は起きませんでしょうか?

国庫帰属制度とは?

このように空き家問題が増え続ける中、国は対策の一つとして令和5年4月から【相続土地国庫帰属制度】という制度を開始しました。

法務省HP『相続土地国庫帰属制度の概要』から引用

この制度は、相続で取得した土地の所有権を国に帰属させるものです。

国に帰属させる、というと少し言い方が難しいかもしれませんが、簡単に言うと『所有者が国となり、申請者とは関係のない土地になる』ということです。当然、帰属申請した方の所有物ではなくなるため、固定資産税の支払いも無くなりますし、万が一その土地でトラブルが発生した場合でも新所有者である国が対処することになります。

国庫帰属制度のメリット

固定資産税の支払いが無くなる

土地や建物などの不動産を所有している方は、毎年固定資産税を支払わなくてはいけません。この税金は、例え活用していない土地、住んでいない建物であったとしても所有者には支払う義務があります。

便益を得ていない不動産に対して税金を支払い続けるということは非常にもったいないことだと思います。

国庫帰属制度を活用し、土地を国に帰属させることによって所有者は国となります。そのため固定資産税を支払う必要も無くなります。

土地でトラブルが発生した際の責任が無くなる

先述したように、所有している土地で火事や不審者の侵入、建物の倒壊等のトラブルがあった場合、その責任は所有者にあります。

時には、損害賠償を求められる事態に発展する可能性も考えられます。

そういった万が一の場合の責任を回避するためにも土地を帰属させることは有効です。

後世に厄介な土地を引き継がせなくてよくなる

ご自身が亡くなった場合、当然に相続が発生し、財産が配偶者や子に分配されます。その際には活用していない土地も相続対象となります。

ご自身で手に余している土地を相続させるということは、その土地の問題を後世に引き継がせるということになります。

そのような事態を望んでいる方はいらっしゃらないかと思います。

ただし、国庫帰属制度にはデメリットがあることも知っておく必要があります。

国庫帰属制度のデメリット

返還できない土地がある

国庫帰属制度はどんな土地でも利用できるわけではありません。

詳細については後述しますが、帰属申請できる土地にはいくつかの要件があります。また、申請後も審査があり、審査内容によっては不承認となる可能性もあります。

お金がかかる

国庫帰属制度の利用には費用が掛かります。

具体的には、申請書類を提出する際に土地1筆当たり14,000円の審査手数料が掛かります。

また、帰属申請が承認された際には、国に対して負担金として一筆あたり原則200,000円を支払う必要があります。

(負担金は申請する土地の用途地域や地目によって変わってきます)

後述しますが、申請書類の作成を専門家に依頼した場合、専門家の依頼費も追加で支払うことになります。

時間がかかる

国庫帰属制度は非常に時間がかかる制度ですので、急を要して土地を手放したい場合には不向きとなります。

期間としては、申請書の提出から承認連絡まで半年~1年程度といわれています。

国庫帰属制度の要件

先にも書いたとおり、全ての土地が国庫帰属申請できるわけではありません。

まずは大前提として『相続』で取得した土地である必要があります。国庫帰属制度の正式名称が【相続土地国庫帰属制度】であるのもそういった理由からです。

売買や贈与等で取得した土地はそもそも対象外ですのでご注意ください。

申請が却下される土地

①建物がある土地

土地上に建物がある場合、そもそも国庫帰属申請を行うことができません。現に土地上に建物がある場合には、その建物を解体して更地に戻すことにより申請が可能となります。

②担保権や使用収益権が設定されている土地

少し分かりやすく書くと、抵当権などがついている場合や賃貸物件として貸し出しを行っている場合には申請を行うことができません。

③他人の利用が予定されている土地

例えば、申請する土地に他人が住み着いていたり、近隣の人が通行していたり、隣人が勝手に野菜を植えていたり……など誰かがその土地を利用している場合には申請を行うことはできません。

④土壌汚染されている土地

土地に有害な薬品が染み込んでいる等がある場合には申請を行うことができません。

⑤境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

どこからどこまでが所有権のある土地なのか判別ができない場合や、隣人などと土地の所有権について揉めている場合にも申請を行うことはできません。

審査で不承認となる土地

①一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地

崖や急斜面に面している土地は審査段階で不承認となる可能性があります。具体的には勾配30度以上+高さ5メートル以上の崖とされています。

②土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地

土地上に車両や樹木等の残置物がある場合、不承認となる可能性があります。

③土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地

地中に埋没物がある場合、不承認となる可能性があります。

埋没物には、古い水道管や井戸、浄水槽、廃棄物などが該当します。

④隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

いわゆる袋地等、公道に面していない土地などは不承認となる可能性があります。

⑤その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

土砂災害で他人に損害を発生させる可能性のある土地や野生動物等が住み着いている土地なども不承認となる可能性があります。

このように国庫帰属制度を利用できる土地にはいくつもの要件があります。まずは申請を検討している土地がすべての要件を満たしているか調査を行う必要があります。

申請書類の代理作成

国庫帰属制度の申請を行うためには申請書の他にいくつもの書類の提出が必要となります。

中には専門的な書類もあるため、知識のない方や時間のない方が申請書類を全て揃えることはなかなか大変かと思います。

そこで国庫帰属制度の申請書類は国家資格者が代理で作成することが認められています。

その資格者は、弁護士・司法書士・行政書士のみです。

いわゆる士業と呼ばれる資格者の中でも上記3者以外では国庫帰属制度の書類作成は出来ませんのでご注意ください。逆に言えば、国庫帰属制度申請についての相談は弁護士、司法書士、行政書士のいずれかに行うことになるかと思います。

専門家に申請書類の作成を依頼するとその分費用は掛かってしまいますが、スムーズに案件を進めることが可能となります。また、何か問題が発生した際にも的確なアドバイスをもらうことができるため、ご自身での申請に自信がない方や時間がない方は専門家に依頼することをご検討ください。

一点、注意点としては、国庫帰属制度で代理人に認められていることは申請書類の収集及び作成までです。最後に法務局に書類を提出する【申請手続き】は申請者本人または法定代理人のみです。弁護士・司法書士・行政書士のいずれも国庫帰属制度の申請までは行えません。

まとめ

相続登記の義務化や民法改正などにより国が空き家問題の解決に本腰を入れ始めました。

相続土地国庫帰属制度もそのうちの一つです。

昨今、相続などで取得したいわゆる【負動産】に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

先延ばしにしていてもリスクしかない不動産の処分についてこの機に考えてみることをおすすめします。

行政書士事務所オータムは静岡県浜松市に事務所を置いており、地域と行政の橋渡しとして日々営業を行っております。

まだ開設されて間もない制度ではありますが、弊所では国庫帰属制度の受任実績があります。

これから増え続ける負動産問題の解決策の一つとして国庫帰属制度をぜひご検討ください。

『こんな土地だけど申請できるかな?』、『相続土地国庫帰属制度についてもっと詳しく知りたい』などお気軽にお問合せください。

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