【行政書士が解説】飲食店営業許可取得の手順や必要書類などについて

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行政書士事務所オータムでは飲食店開業許可、風俗営業許可、深酒提供開始届などの業務を取り扱っております。
飲食店と一口に言っても、その営業内容や酒類を提供するかどうか、深夜に営業するかどうかなどで営業に必要な許可や届出が変わってきます。
ただ、どのような飲食店であっても必ず取得しなくてはいけないものが、保健所に対して申請を行う飲食店営業許可です。
本日は、全ての基本となる飲食店営業許可について、申請手順や申請に必要な書類等を解説したいと思います。
飲食店営業許可取得までの大まかな流れ
1
必要な許可届出の確認
ご自身が営業したい飲食店の内容をしっかりと決め、それに必要な許可や届出を確認します。
2
物件の選定
必要な許可や届出が判明したら物件の選定を行いましょう。もし風俗営業許可の取得や深酒提供届なども検討している場合、物件選びにはご注意ください。
3
設備、内装の検討
飲食店営業許可には設備や内装に要件があります。設備業者、内装業者と打ち合わせを行って設備のリストや内装の図面案を作りましょう。
4
保健所に相談
3⃣で作成した図面案を持参して保健所で要件に適合しているかどうかの事前相談をしておくことをお勧めします。
5
必要書類の収集、作成
必要書類の中には平面図などもあり、作図になれていない方ですと時間が掛ってしまいます。なるべく早めに動きましょう。
6
申請(申請手数料の支払い)・検査日の決定
5⃣で作成した書類を申請して手数料を納付します。それと同タイミングで現地調査の日程を決めましょう。
7
現地調査
保健所の担当者が実際の店舗まで現地に訪れて設備等が申請書通りかどうかの検査を行います。
8
許可証の発行or再検査
現地調査の結果、問題が無ければ飲食店営業許可証が発行されます。不備があった場合には後日、再検査となります。
①必要な許可届出の確認

冒頭でも書いた通り、飲食店の営業内容によっては追加で手続きしなくてはいけない許可や届出があります。
主なもので言うと、風俗営業許可・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出・特定遊興飲食店営業許可などがあります。
風俗営業許可
・1号営業:社交飲食店
キャバクラやホストクラブ等、従業員が客に対して接待行為を行う業態の場合に必要な許可です。
・2号営業:低度照明飲食店
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営む場合に必要な許可です。
・3号営業:区画飲食店
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設ける場合に必要な許可です。
・4号営業:麻雀店、パチンコ店
マージャン、パチンコ等の射幸性のある設備を設置して客に遊戯させる店舗の場合に必要な許可です。
・5号営業:ゲームセンター
射幸性のあるゲーム機を設置して客に遊戯させる店舗の営業に必要な許可です。
営業する飲食店がこれらに該当する場合には風俗営業許可が必要となります。特に注意が必要となるのは1号営業(社交飲食店)です。
社交飲食店かどうかのカギとなる接待行為ですが、【お店側が積極的に働きかけて、特定の客に対して行う】そして【お客さんもそれを期待して来店する】ということがポイントになります、。
『お客さんにお酌をする、カラオケで合いの手を入れる、デュエットする、お客さんと一緒にゲームで遊ぶ、お客さんと一緒に踊る』これらの行為は全て接待行為にあたるため、従業員がお客さんに対してこのような行為を行う営業内容を考えている場合には風俗営業許可が必要になります。
風俗営業許可の取得手順や必要書類等はこちらのコラムで詳しくまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
【行政書士が解説】風俗営業許可の取得手順や必要な書類について
深夜における酒類提供飲食店営業開始届出
深夜時間(AM0時~AM6時の間)に主として酒類を提供する店舗の場合、深夜営業を行う10日前までに『深夜における酒類提供飲食店営業開始届出』を警察署に出さなくてはいけません。
0時以降(場所によっては1時以降)に営業を行うBAR、居酒屋、スナックなどが該当します。
深夜における酒類提供飲食店営業開始届出(深酒)についてはこちらのコラムで詳しくまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
【行政書士が解説】深夜における酒類提供飲食店営業開始届出(深酒)の手順や必要な書類について
特定遊興飲食店営業許可
特定遊興飲食店とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいいます。
つまり、深夜(AM0時~AM6時の間)に客に酒類を提供しつつ、かつ、お客さんにダンスなどの遊興をさせる業態の店舗が取得しなければいいけない許可ということです。
該当する業態の例としては、クラブ・ディスコ・ライブハウスなどが挙げられます。
深夜における酒類提供飲食店営業と似ていますが、違いとしては『お客さんが深夜に遊興するかどうか』になります。
【遊興】の具体例としては、
□照明や音響の演出を行い、不特定の客にダンスをさせる
□不特定の客にショーやダンスを見せる
□客がカラオケを歌い、合いの手などを入れて盛り上げる
□不特定の客にバンドなどの生演奏を聞かせる
等が該当します。
逆に、遊興に該当しない例としては、
■客にカラオケを利用させるが、合いの手などを一切行わない
■ダーツなどの遊技機を設置して、客が自由に遊ぶ
■スポーツなどの映像を流すだけ(従業員が客に呼びかけなどをして応援を促したりする場合には遊興に当たります)
風俗営業1号営業:社交飲食店では接待行為及び客に遊興をさせることができます。しかし、深夜(午前0時~午前6時)の間は営業することができません。
特定遊興飲食店では深夜に客に遊興をさせることができますが、従業員が客に対し、接待行為を行うことはできません。
このように、飲食店の営業内容によって必要な許可や届出が細かく定められているため、ご自身のお店の営業内容をしっかりと決めることが大事です。
飲食店の営業許可しか取得していないのに、従業員がお客さんに対して接待行為をしてしまった、深酒提供開始届を出していないのに深夜帯に営業してしまったなどという場合には無許可営業となり、重い罰則がありますので注意が必要です。
②物件の選定
ご自身のお店の営業内容が決まったら、店舗物件の選定にはいります。
というのも、飲食店の営業許可だけならあまり気にする必要はないのですが、風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出などが必要なお店を開きたい場合、それぞれに手続きには店舗の場所的要件があるためです。
細かい内容については省きますが、お店を開くことができる用途地域が決まっていたり、店舗の周囲に保全対象施設があってはいけない、などの細かい要件があります。
これらの要件で引っかかってしまう場合、風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出などの取得は不可能ですので……
『飲食店の営業許可は取得したけど、風俗営業許可は取得できなかったから希望する営業内容ができない』などといった事態になりかねません。
そういった意味でも、事前にしっかりと必要な許可や届出を把握し、それを見越した物件選びが必要となってきます。
③設備、内装の検討
飲食店営業許可を取得するためには店舗の設備要件をクリアする必要があります。また、風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出の申請には内装の要件もあるため、許可の取得を見越した設備内装にする必要があります。
この段階でしっかりと検討を行いましょう。
飲食店営業許可を得るために必要な設備の具体的な要件は以下になります。
□区画分け
客室とキッチンが扉や、間仕切り等で分けられている必要があります。
□汚染防止設備
虫、鼠、ゴミなどが店舗内に侵入することを防ぐための設備が必要です。
□床、壁の材質
キッチンの床、壁は水洗いでの掃除が容易にできる材質でないといけません。絨毯などは水がしみ込んでしまうのでNGです。
□天井
床、壁と同様に、キッチンの天井も掃除が容易にできる状態でないといけません。ボードを張らずに配管むき出しにするのはホコリや鼠の落下原因になるためNGです。
□手洗い場
キッチンに独立した手洗い場の設置が必要です。調理用のシンクとは併用できない点を注意してください。また、手洗い場の構造にも決まりがあり、『洗浄後の再汚染を防止できる構造』である必要があります。具体的には、蛇口の構造がレバー式やセンサー式、ボタン式など、直接手を触れずに水を出したり止めたりできるような機構でなければいけません。
□換気扇
換気扇の設置、または換気窓の設置が必要です。
□調理用シンク
食器や食材を洗浄するためのシンクの設置が必要です。スナックなど、乾き物の提供のみで調理を行わない場合には1層シンクでも問題ありませんが、食材の調理を行う飲食店では2層以上のシンクが必須となります。
また、基本的には水とお湯の両方が出なくてはいけません。
□冷蔵庫・冷凍庫
キッチン内に冷蔵庫を設置する必要があります。(客室に冷蔵庫を置いた場合には要件を満たしません)
冷凍庫に関しては必須ではありませんので、必要に応じて設置しましょう。
□食材保管棚
食材等を保管しておくための棚などを設置しましょう。棚には、戸などを付けて鼠や虫の侵入を防ぐ必要があります
飲食店の営業許可を取得する際には、これらの要件をすべて満たす必要があります。
設備業者や内装業者との打ち合わせでこれらの要件を伝え、しっかりと衛生基準を満たした内装、設備になるような店舗にしましょう。
④保健所に相談
保健所への事前相談は必須ではありませんが、③で決定した内装や設備を図面化、リスト化して保健所に確認してもらうことをお勧めします。
もし現行案の設備等では許可が下りないとなれば、すぐに業者に相談して工事内容の変更ができるからです。
事前調査を行わず、内装工事がすべて終わった後に要件の不適合が発覚して再工事などになった場合には時間も費用も余分に掛かってしまうため、できれば事前に保健所に相談しておくと良いでしょう。
⑤必要書類の収集、作成
飲食店営業許可申請に必要な書類の収集及び作成を行っていきます。
必要な書類は以下の通りです。(地域によって必要な書類に違いがあるかもしれませんので、こちらも事前に保健所に問い合わせておくと良いでしょう)
□必要書類□
・営業許可申請書 1通
・施設の構造、設備を示す図面(平面図)2通
・営業所周辺の案内図
・食品衛生責任者の資格を証するもの
・1年以内に発行された水質検査証のコピー(水を水道管から引くのでは無なく、貯水槽や井戸水を使用する場合)
・登記事項証明書(法人が申請する場合のみ)
□営業許可申請書
保健所窓口で交付してもらうか、管轄保健所のホームページからもダウンロードが可能です。
□施設の構造、設備を示す図面(平面図)
おそらく、飲食店営業許可申請の中でもっとも苦戦するのがこの図面だと思います。
こちららでは店内の設備などの配置を示した図面を作る必要がありますが、保健所職員による現地調査の際に提出した図面と実際の店内が異なる場合、指摘をされたり、書類の訂正を求められたりするため、いい加減なものではいけません。
しっかりとした図面であれば手書きでも問題ありませんが、ちゃんと店内の測量を行い、方眼紙に定規などを使って実際の店内の縮尺通りに書きましょう。
可能であればパソコンを使ってCAD等のソフトで作図することをお勧めします。
たまに『不動産屋さんからもらった図面は使えないの?』というご質問がありますが、基本的には不動産屋さんが出す図面と保健所に提出する図面では求められている内容が違うため、そのまま使うことができない場合がほとんどです。
ご自身で図面を書くことが難しい場合には、図面の作成を行政書士、建築士、土地家屋調査士等の専門家に依頼するのも一つの手です。
□営業所周辺の案内図
□食品衛生責任者の資格を証するもの
飲食店を営業するうえで『食品衛生責任者の資格』は必須となります。
1店舗につき1名以上の食品衛生責任者の資格を有する者を設置しなくてはいけません。
調理師、製菓衛生士、栄養士、船舶料理士、と畜場法に規定する衛生管理責任者又は作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者等の有資格者が食品衛生責任となることができます。
とはいえ、これらの資格を持っている人は少なく、これから取得しようとしても時間が掛ってしまいます。
でもご安心ください。
上記の資格を持っていなくても、資格者養成講習会を受講することにより、誰でも食品衛生責任者の資格を取得することが可能です。
資格者養成講習会は、管轄の保健所もしくは食品衛生協会が定期的に開催しており、約6時間の講習で受講料は10,000円前後(地域によって差あり)と手軽に取得することができます。
近年ではe-ラーニング形式で24時間受講できる自治体もあり、取得がより容易になっています。
食品衛生責任者の資格を持っていない場合には、店舗の開業目途がたった段階で講習を受けて取得しておきましょう。
□1年以内に発行された水質検査証のコピー
水を水道管から引くのではなく、貯水槽や井戸水を利用する場合には1年以内に発行された水質検査証のコピーが必要になります。
□登記事項証明書
法人が許可申請を行う場合には、法人の登記事項証明書……いわゆる登記簿謄本が必要になります。
個人が申請する場合には不要です。
⑥申請(申請手数料の支払い)・検査日の決定
書類の収集、作成が完了したら申請手数料を印紙で支払います。地域によって差はありますが、16,000円~20,000円程度になります。
書類の提出が完了しましたら、保健所担当者による立ち合い検査の日程決めになります。これも地域によってことなりますが、書類提出したその場で決まることもあれば、後日連絡があって日程を決定する場合もあります。
とはいえ、申請してからすぐに立ち合い検査というわけにもいかないため、最低でも営業開始希望日の10日前までには申請書類を提出しておくと良いでしょう。
ちなみに、店舗の内装工事が完了していなくても申請自体は行うことができます。ただし、申請してから立ち合い検査の日までにキッチン、トイレ、更衣室等が完成するようにしっかりと予定組をしておきましょう。ただし、客室に関しては検査の対象外ですので、立ち合い検査日に未完成のままでも問題ありません。
⑦現地調査
保健所の担当者が調査する日になったら、開始時刻よりも早めに店舗に行って準備をしましょう。
当日は担当者が提出した書類を見ながら店舗の調査を行います。調査担当者から質問などがあった場合にはしっかりと答えられるようにしておきましょう。
主な検査項目としては、提出された図面に間違いはないか、提出された設備に間違いはないか、水漏れはないか、ガス漏れはないか、お湯はしっかりと出るか、手洗い設備の感染予防対策はなされているか、などといったキッチンやトイレ等の水回りを中心に検査していきます。
また、お湯の確認もあるため、給湯設備の設置が間に合っていない場合やガスの開栓が出来ていない場合には注意が必要です。
各項目を検査され、不備があれば訂正や改善を求められたり、場合によっては再検査となる場合もありますので、しっかりとすべての許可要件を満たした状態で検査に臨みましょう。
⑧許可証の発行or再検査
検査の結果、何も問題が無ければ無事許可がおります。許可が下りた後、いつから営業が可能か保健所に訪ねておくと良いでしょう。
もし、検査時に不備が見つかった場合には、その部分を改善してから再度検査の予約を取りましょう。
保健所が発行した飲食店営業許可証は、お客さんが見やすい位置(店舗入り口やレジ等)に掲示する義務があります。
これらの工程をすべて完了し、保健所からの許可が下りれば無事飲食店の営業が可能となります。
とはいえ、あくまでも注意が必要なのは、『取得したのは飲食店の営業許可』であるということは忘れてはいけません。
例えば、風俗営業許可が必要な店舗を営業する予定であった場合、飲食店の営業許可取得後に続けて風俗営業許可を取得しなくてはいけません。
同じように、深夜にお酒をメインで提供するお店をやりたい場合、この後に深夜における酒類提供飲食店営業開始届出を出さなくてはいけません。
(上記の場合でも、風俗営業許可がいらない範囲や深夜を以降に営業をしない場合などであれば、飲食店として営業は可能です)
また、飲食店の営業許可だけを取得すれば問題ないわけではなく、消防署に対して『防火対象物使用開始届出』の提出が必要であったり、店舗規模によっては『防火管理者』を選任し、消防署に対して『防火管理者選任届出書』の提出が必要な場合もあります。
まとめ
以上が飲食店の営業許可を取得するための手順になります。
飲食店営業許可には設備基準や内装基準が細かく定められており、申請に必要な書類も専門的なものがあります。
さらに、風俗営業許可や深酒提供届出につながる場合には、人的要件や店舗の場所的要件も加わり、さらに必要な書類の量が増えて専門性も高まります。
もしこれから飲食店の開業を考えている方で許可の取得不安がある方は、飲食店営業許可や風俗営業許可申請の専門家である行政書士に依頼することを強くお勧めします。
行政書士に対する報酬は発生してしまいますが、許可申請に必要な知識を一から勉強し、図面をはじめとする各種書類の作成に係る時間や手間を節約できるのはもちろんのこと、役所との面倒なやり取りを専門家に全て任せることができます。
そしてなにより、行政書士が開業のサポートをすることにより、『要件を満たしていないため許可が貰えませんでした』という事態がほとんどありません。
(要件を満たしていない部分については、専門家である行政書士が事前に指摘してくれる場合がほとんどのため、対策を立てやすいです)
このように時間節約的意味でも、リスクヘッジ的な意味でも、飲食店開業は行政書士に依頼することをご検討いただければと思います。
行政書士事務所オータムは静岡県西部(湖西市、浜松市、磐田市、袋井市、森町、掛川市、菊川市等)を中心に飲食店営業許可、風俗営業許可、深酒提供届出等の取得を得意としており、これから飲食店の開業を目指している事業者様のサポートを行っています。もちろん、静岡県西部以外のご依頼も大歓迎です。
また、既存の飲食店の更新手続きや、変更届出などにも対応しています。
個人事業主の飲食店オーナーの法人成り(会社設立)や資金調達なども得意としておりますので、飲食店関連のことで困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。
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