【行政書士が解説】理容室・美容室を開業する手順、必要書類について

当コラムをご覧頂き、ありがとうございます。
静岡県浜松市を拠点とする、行政書士事務所オータムでは飲食店営業許可、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出、風俗営業許可、特定遊興飲食店営業許可等々を得意としております。
また、飲食店営業許可と同じく保健所への営業届出が必要となる理容室や美容室といった申請手続きも弊所では承っております。
さて、今回のコラムの内容は【理容室・美容室を開業する手順、必要書類について】についてになります。
理容師になるには理容師国家資格、美容師になるには美容師国家資格、それぞれの専門の学校を卒業し、学科と実技の国家試験に合格して免許を取得しなくてはいけません。
理容師や美容師は専門性が高く、将来的に無くなることもない仕事であり、独立して自分のお店を持つこともできるため、男女問わず非常に人気のある職業です。
では実際に、独立して自分のお店を出したいと考えている方向けに、美容室を開業するために必要な手続きなどを許認可取得の専門家である行政書士が解説をしていきたいと思います。
(理容室と美容室は関連法令の内容や要件等が似ているため、このコラムでは美容室を前提とした法令、条例解説を行っていきます)
理容室・美容室の開業には保健所への届出が必要

理容室や美容室を開業する際には、衛生面の観点などから管轄する保健所に届出を行う必要があります。
美容師法 (美容所の位置等の届出)
第11条 美容所を開設しようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、美容所の位置、構造設備、第12条の3第1項に規定する管理美容師その他の従業者の氏名その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
2 美容所の開設者は、前項の規定による届出事項に変更を生じたとき、又はその美容所を廃止したときは、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。
美容師法にはこのような規定があり、美容室を開業する際には事前の届出が必要な旨が定められています。
また、これに違反したときの罰則についても規定があります。
美容師法 (罰則)
第18条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第6条の規定に違反した者
二 第11条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第12条の規定に違反して美容所を使用した者
四 第14条第1項の規定による当該職員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第15条の規定による美容所の閉鎖処分に違反した者
美容師法第18条を根拠条文とし、美容室の開業届出を行わずに美容室を営業した場合には30万円以下の罰金が科されることになります。
美容室や理容室を開業する際には、事前に必ず届出を行うようにしましょう。
理容所・美容所の設備要件
美容師法 (美容所の使用)
第13 美容所の開設者は、美容所につき、次に掲げる措置を講じなければならない。
第12条 美容所の開設者は、その美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、その構造設備が第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、当該美容所を使用してはならない。
(美容所について講ずべき措置)
一 常に清潔に保つこと。
二 消毒設備を設けること。
三 採光、照明及び換気を充分にすること。
四 その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
美容師法の12条、13条の規定により、美容所の要件があります。そして、第13条の肝となるのが第4号【その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置】です。
美容所の設置に関する細かい条件は各都道府県の条例によって定められているということになりますので、美容所を設置したい地域の条例を必ず読み込むようにしましょう。
ここでは、弊所がある浜松市の条例をもとに解説を行っていきます。
浜松市のHPにある保健所関連の項目内にはこのようなPDFがあります。
この中には美容所の施設基準などもあるため、ご確認ください。
◆他の施設との区画
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・理(美)容所以外の施設(住居など)と、隔壁・扉などにより区画されていること。
◆作業所、待合所
・作業所と待合所を区分すること。
・作業所の面積(内寸面積)は、理(美)容いす(洗髪設備は除く)2脚までは9㎡以上、1脚増すごとにプラス3㎡以上であること。(例︓5脚設置の場合、9+3×(5-2) = 18㎡以上)
◆床などの材質
・床及び腰板には、不浸透性材料を使用すること。
(例︓コンクリート、タイル、リノリューム、フローリング、クッションフロア など)
◆洗浄設備
・従事者の手指、使用器具などのための流水式洗浄設備を作業所内に設けること。
◆消毒設備
・以下の消毒設備を作業所内に設けること。
【必須】薬液(エタノール又は次亜塩素酸ナトリウム)及びその専用容器又は煮沸消毒器
【任意】紫外線照射保管庫その他の消毒設備
◆汚物箱、毛髪箱
・ふた付きのものをそれぞれ1個以上備えること。
◆救急薬品等
・外傷に対し必要な救急薬品及び衛生材料を備えること。
◆作業面の照度
・作業面の照度が100ルクス以上となるように採光又は照明が設けられていること。(検査時測定)
◆換気方法
・換気ができる構造であること(施設の炭酸ガス濃度が5,000ppm以下であること)
美容所の施設、構造基準は衛生面を考慮した項目がほとんどです。安全に施術が出来るようにしっかりと基準を遵守しましょう。
◆他の施設との区画
自宅兼作業所として建物を利用する場合や薬品等の保管倉庫がある場合、作業所とは物理的に区画分けをする必要があります。
基本的には壁や扉といったもので仕切らなくてはいけません。カーテンやのれんといった簡易的なものではダメですので注意が必要です。
また、従業員の休憩室や着付けを行う部屋なども作業所とは別室となるため、同様に壁や扉による区画分けが必要になってきます。
◆作業所、待合所
作業所とは別に、お客さんの待合所を設置しなくてはいけません。
また、作業所と待合所はある程度区分けをする必要があります。地域によっては、『容易に動かせない腰高程度の本棚や商品ケース、床固定したパーテーション等であることが必要です。』といったような具体的な規定がある場合もあります。
作業所については広さの規定があります。
・作業所の面積(内寸面積)は、理(美)容いす(洗髪設備は除く)2脚までは9㎡以上、1脚増すごとにプラス3㎡以上
であること。(例︓5脚設置の場合、9+3×(5-2) = 18㎡以上
このように、客席数によって必要な床面積が変動しますので、ご注意ください。
◆床などの材質
床や腰板に使う材質は、コンクリートやタイルなどの水を吸収しない材質でないといけません。絨毯やカーペットを敷くなどは出来ない点に注意が必要です。
内装工事を行う際に、事前に内装業者と相談をおこないましょう。
◆洗浄設備
従業員が手を洗うことができる設備を作業所内に設置しなくてはいけません。住居エリアにある洗面台等では足りない点に注意が必要です。
◆消毒設備
洗浄設備と同様に、消毒設備も作業所内に設置する必要があります。
◆汚物箱、毛髪箱
ゴミ箱と毛髪箱を最低でもそれぞれ1個ずつ備えなくてはいけません。また、意外と見落としがちな項目ですが、ゴミ箱には蓋がついてなくてはいけません。
◆救急薬品等
市販の救急キットなど、応急品が一式揃ったものを常備しておきましょう。
◆作業面の照度
客席付近の明るさを100ルクス以上にしなくてはいけません。
そもそも”ルクス”という言葉を始めて聞く方もいらっしゃるかもしれません。
ルクスとは、光に照らされた面の明るさを数値で示す際の単位です。
同じく明るさを表す際に使う単位として、【ルーメン lm】がありますが、こちらは光源そのものの明るさの数値です。
では100ルクスがどのくらいかというと、『やや暗めの室内照明』ぐらいの明るさを想像していただければと思います。
※浜松市での客席付近の明るさ要件は100ルーメン以上となっていますが、この数値は地域により異なります。
中には300ルーメン以上の照度が必要な地域もありますので、必ず管轄する地域の条例や規則等をご確認ください。
ちなみに、弊所が飲食店や美容室の開業をサポートさせて頂く際には、このような専用の照度計を使用してしっかりと照度を測定して問題が無いことを確認してから申請をおこなっています。

◆換気方法
換気扇等の換気設備を作業所内に設置しましょう。
用途地域による営業の制限
理容室や美容室は一部、営業ができない地域があります。
用途地域と呼ばれ、大きく「住居系用途地域」「商業系用途地域」「工業系用途地域」の3種類に区分され、さらに細かく13種類に分けられています。
これら各地域では建築する建物の種類や建ぺい率、容積率に制限が設けられており、適合しない内容の建物は建てることができません。
用途地域は各都道府県や市町村で定められています。
どの用途地域で美容室の営業ができるのか、各地域の条例により異なる場合がありますので、必ず事前に役所に確認を行いましょう。
申請に必要な書類
理容室・美容室開業の際に必要になる書類は下記の通りになります。
※下記の書類は浜松市で美容室開業の際に必要になる書類になります。必要書類は各地域によって異なる可能性がありますので、事前に管轄する保健所や担当窓口にて確認をお願いします。
◆理容所・美容所開設届
◆理容師・美容師免許証(原本の提示)
◆従事する理容師・美容師についての医師の診断書(原本の提示+コピーの提出)
◆管理理容師・管理美容師の管理講習修了証書(原本の提示+コピーの提出)
◆理容所・美容所の平面図
◆理容所・美容所周辺の地図
◆外国人が開設の届出をする場合は、住民票の写し
◆登記事項証明書又は定款若しくは寄付行為の写し(開設者が法人の場合)
◆理容所・美容所開設届
開設する店舗の情報や開設者の情報を記入する申請書になります。保健所や役所の管轄する窓口等で受け取ってください。
◆理容師・美容師免許証(原本の提示)
当然ですが、理容作業や美容作業を行えるのは理容師・美容師の免許を持つ人のみです。開設する店舗で作業を行う方が持つ免許証の原本を準備しておきましょう。
◆従事する理容師・美容師についての医師の診断書(原本の提示+コピーの提出)
理容所・美容所を開設する際には、従事する理容師・美容師が結核・伝染性皮膚疾患等を患っていないか、医師による診断が必要となります。
事前に医院を受診し、医師による診断書をもらっておきましょう。
ただし、提出できるのは医師による診断から3か月以内の診断書になりますので、期限には注意してください。
◆管理理容師・管理美容師の管理講習修了証書(原本の提示+コピーの提出)
理容師・理容師が2名以上いるお店を開設する際には、管理理容師・管理美容師を設置しなくてはいけません。
美容師法 (管理者)
第12条の3 美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。ただし、美容所の開設者が第二項の規定により管理美容師となることができる者であるときは、その者が自ら主として管理する一の美容所について管理美容師となることを妨げない。
2 管理美容師は、美容師の免許を受けた後三年以上美容の業務に従事し、かつ、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者でなければならない。
管理理容師・管理美容師は美容師法第12条の3第2項の規定により、美容師として3年以上勤務したもので、かつ、管理者講習を修了した者がなることができます。
管理者講習は定期的に開催されているため、事前に修了しておきましょう。受講料は20,000円ほどになります。
◆理容所・美容所の平面図
大抵の方は図面の作図経験がないので、理容室・美容室の開設で必要になる書類の中でもっともネックになってくるのが、営業所の平面図になるかと思います。
店内の設備などの配置を示した図面を作る必要がありますが、保健所職員による現地調査の際に提出した図面と実際の店内が異なる場合、指摘をされたり、書類の訂正を求められたりするため、いい加減なものではいけません。
しっかりとした図面であれば手書きでも問題ありませんが、きっちりと店内の測量を行い、方眼紙に定規などを使って実際の店内の縮尺通りに書きましょう。
可能であればパソコンを使ってCAD等のソフトで作図することをお勧めします。
たまに『不動産屋さんからもらった図面は使えないの?』というご質問がありますが、基本的には不動産屋さんが出す図面と保健所に提出する図面では求められている内容が違うため、そのまま使うことができない場合がほとんどです。
下記は、美容室開業で求められる平面図の例になります。(浜松市HP内にある『理容所・美容所の開設の手続き』から引用)

ご自身で図面を書くことが難しい場合には、図面の作成を行政書士、建築士、土地家屋調査士等の専門家に依頼するのも一つの手です。
弊所では、飲食店営業許可や美容室営業届出の書類を作成する際には、レーザー測量器やコンベックス等を用いて店内の測量を行い、PCにてCADを使って作図しております。


※上記は、弊所行政書士がCADで作成した架空の飲食店平面図。
◆理容所・美容所周辺の地図
申請書類を提出すると、保健所や役所の担当者が地図をもとに現地調査にきます。
営業所の位置が分かりやすい地図を作成して添付しましょう。
その際、駐車場がある場合には駐車場の位置なども記入するようにしてください。
◆外国人が開設の届出をする場合は、住民票の写し
外国人の方が届出を行う場合、ご自身の国籍が記載された住民票の提出が必要になります。
◆登記事項証明書又は定款若しくは寄付行為の写し(開設者が法人の場合)
法人が届出を行う場合には、法人の登記事項証明書等の書類が必要になります。
理容室・美容室開設手順
1
店舗物件の目星をつける
まずは営業所の物件の目星をつけましょう。
2
内装の検討
物件の目星がついたら内装を考えましょう。内装や設備関する要件があるため、それらを考慮する必要があります。可能であればここで簡易的な店内の完成予想平面図を作成しておきましょう。
3
事前相談
店舗物件の資料や内装の平面図をもって管轄する保健所等の窓口にて事前相談を行いましょう。担当者の方に資料を見せ、違法性が無いかどうかの判断をしてもらいます。
4
物件の契約・内装工事の着工
事前相談で問題が無ければ、正式に物件の契約と内装工事を行いましょう。
5
申請書類の作成・提出
必要書類の収集作成を行い、管轄の保健所等の窓口へ提出にいきましょう。その際、担当者と施設調査(立ち合い検査)の日程を決めます。
6
施設調査(立ち合い検査)
事前に決めた調査日になったら、申請者が調査に立ち会いましょう。その際、提出した申請書や図面等と合致しない部分や基準に適合しない個所については指摘をされます。指摘がある場合には再調査となるためご注意ください。
7
確認通知書の交付
提出書類、施設調査ともに問題がなければ、施設調査から1週間程度で【確認通知書】が交付されます。この通知書を受領した段階で営業ができるようになります。
まとめ
理容師・美容師は人気の高い職種であり、ご自身のお店を持ちたいと考えている方も多いかと思います。
お店の開業には必要な手順があることをしっかりとご理解ください。
美容室の開業には美容師法や建築基準法、都市計画法、各都道府県の条例など様々な法令が関わってくるため、正しい理解が必要となってきます。
もし、ご自身で美容室の開業手続きが難しいと感じられる方は、ぜひ許認可申請の専門家である行政書士に依頼することをご検討ください。
静岡県浜松市を拠点とする、行政書士事務所オータムでは理容室・美容室の開業手続き等も承っております。
浜松市以外でも、湖西市、磐田市、袋井市、森町、掛川市、菊川市等々静岡県西部からのご依頼、ご相談も受け付けております。
弊所は、『ご依頼者様のビジネスの長期的なパートナーになること』を理念としており、開業のサポートだけで終わるのではなく、
▢美容室・理容室変更手続き
▢個人事業主の法人化
▢事業譲渡手続き
▢日本政策金融公庫の創業融資サポート
▢補助金サポート
▢各種契約書の作成
▢事業計画の相談
▢マーケティング相談
▢カットモデルの撮影
等々
様々な面で開業後もサポートさせて頂きます。
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