【行政書士が解説】飲食店や美容サロン等を開業する際に必要な消防署への届出

本コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。
弊所は静岡県浜松市で営業を行う行政書士事務所になります。
こちらのコラムをご覧の方の中には、飲食店や美容サロン、美容室等々将来的に自分のお店を開業したい又は念願叶って最近お店を開業した方もいらっしゃるかと思います。
今回はそんな方向けに、どんな業種で開業してもおおよそ共通してくる『消防署への届出』に関して解説をしていこうかと思います。
これから開業したい方や開業して間もない方には有益な内容かと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
改正行政書士法施行

まずはじめに……令和8年1月1日に改正行政書士法が施行されました。
これは行政書士における大きな一歩となる内容となっております。
改正項目はいくつかあるのですが、特に重要な項目として『非行政書士による行政書士行為の罰則強化』があります。
行政書士法 第一条の三
行政書士法 | e-Gov 法令検索
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
行政書士は、行政書士法の定めにより、他人から依頼を受けて官公署(国や地方公共団体、公的機関の総称)に提出する書類や権利の発生・存続・変更・消滅・といった意思表示をするための書類、その事実を証明するための書類などを作成することができる国家資格者です。
しかし、行政書士の資格を持たない業者による行政書士行為が横行していたため、今回の法改正で罰則が強化された形になります。
非行政書士による行政書士行為の主な例として、
・補助金コンサル会社が補助金の申請書類を作成する
・中古車屋がお客さんの自動車の名義変更を行う
・外国人支援を行う会社がお客さんの在留資格関連の手続きを行う
・友人の営業許可申請書類の作成を有償で手伝う
などなどが挙げられます。
これらは全て行政書士法違反となる可能性が高いです。
今回のコラムでこのような話を出した理由としまして、『消防署』も官公署となりますので、消防署へ提出する届出を代理で行えるのは行政書士または行政書士法人のみとなります。
一見すると、テナント仲介をしてくれた不動産屋や消防設備士、危険物取扱者の資格を持っている方などが行えるような感じもしますが、上記の通り、行政書士法の定めにより、消防署へ提出書類を代理作成できるのは行政書士資格者のみとなります。
改正行政書士法について詳しく知りたい方は以下のコラムをご覧ください。
開業に必要な手続きは営業許可だけではない!

ここからが本題となります。
これから事業を始めたいと考えている方は、その事業内容に沿って営業許可等の取得が必要となる可能性があることは把握されているかと思います。
飲食店を始めたい方は『飲食店営業許可』、美容室を始めたい方は『美容所開設届出』、中古品売買を行う業種であれば『古物商営業許可』などがこれに当たります。
営業許可の取得が業種によって申請先や申請方法、提出書類や要件等々全く異なりますが、いずれにしても初めての方がやるには荷が重いような手続きとなります。
そんな営業許可の取得ばかりに気を取られてしまい、その他にも必要な手続きが多々あることを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
開業時に営業許可の他にも必要となってくる手続きの代表格として挙げられるのが『消防署』への届出となります。
消防署への届出は義務となっているものがいくつもあります。『知らなかった!』、『忘れてた!』といって期日までに届け出を行わないと罰則の対象となる可能性もありますので、今回のコラムでしっかりと必要な手続きを理解し、開業までに漏れなく済ませるようにしましょう。
消防署への届出

新しく事業を始める場合、事業用の店舗や事務所等々、物件を賃貸する場合が多いかと思います。
その際、ほとんどの場合で消防署への届出が発生してきます。
消防署への届出はいくつも種類がありますが、ここでは主要なものを解説していきます。
防火対象物使用開始届出
お店や事務所をオープンするとき、内装や備品、開業準備に追われてつい後回しになりがちなのが消防への届出です。
その中でも特に重要なのが、防火対象物使用開始届出。
防火対象物使用開始届出は「このテナントや建物をこれから使い始めますよ!」と消防署に事前に知らせることにより、消防署側が物件の使用状況や消防設備などを把握し、火災に対するリスクを軽減させるために必要なものです。
防火対象物使用開始届出の提出は消防法によって義務化されていますので、新しく店舗や事務所に入居した事業主は原則的に全員提出しなくてはいけない届出となります。
▢どんなときに必要?
防火対象物使用開始届出が必要になるのは、主に次のようなケースです。
- 新しく建物を建てて使い始めるとき
- テナントに入居して営業を始めるとき
- 用途を変更して使用を開始するとき
(例:事務所 → 飲食店、美容室 → 物販店 など)
▢防火対象物ってなに?
「防火対象物」と聞くと難しく感じますが、ざっくり言えば、
- 飲食店
- 物販店
- 事務所
- 美容院・サロン
- 病院、福祉施設
- 倉庫 など
人が出入りし、火災の危険が想定される建物や施設のことを指し、ほとんどの事業用建物は、何らかの形で防火対象物に該当します。
▢誰が出すの?
原則的に物件を使用する人(新しい事業者)が提出する必要があります。
また、先述した通り、本人に代わって他人が消防署への届出を行う場合、行政書士または行政書士法人以外の者は手続きを行えません。ご注意ください。
▢いつまでに出すの?
原則として、『その物件を使用開始する7日前まで』に提出する必要があります。
ですので、開業する前に事前に提出しておかなければいけない書類になります。
▢何を確認されるの?
この届出を出すことで、消防署は次のような点を把握・確認します。
- 建物の用途(何に使うのか)
- 面積や階数
- 消火器や自動火災報知設備の設置状況
- 避難経路の確保
場合によっては、立入検査が行われることもあります。
▢届出を出さないとどうなる?
「出し忘れたらどうなるの?」とよく聞かれますが、
- 消防から指導・是正を受ける
- 悪質な場合は罰則の対象になる
- 他の許認可(飲食店営業許可など)に影響することも
と、地味にリスクが高い手続きです。
特に開業直後に消防から指摘が入ると、
「ちゃんとしていない事業者」という印象を持たれてしまうことも
▢提出先
防火対象物使用開始届出の提出先は、事業所の所在地を管轄する消防署又は出張所となります。(地域によって提出先が異なる可能性もあります)
提出方法は直接窓口に書類を持ち込む形となります。(一部、郵送や電子申請に対応している自治体もあるようです)
▢必要書類
必要書類については地域ごと異なる可能性があります。弊所がある浜松市では以下の書類が必要となってきます。
・防火対象物使用開始届出書
・付近見取図(案内図)
・配置図
・各階の平面図
・立面図
・仕様書及び室内仕上表並びに消防用設備の設計図書
このように、意外と提出書類が多いです。また図面を作成しなくてはいけないため、慣れていない方ですと手こずるかもしれません。
提出期限は使用開始の7日前ですが、ギリギリで取り掛かると書類が揃わない可能性があります。なるべく早めに準備をしておきましょう。
ちなみに届出提出に際する手数料はありません。
上記は静岡県浜松市の手続きになります。地域によって手順や必要書類等が異なる可能性がありますので、必ず事前に確認をとるようにしてください。
防火管理者選任(解任)届出
一定以上の規模の建物を使用する場合、防火管理者を選任して防火・防災に関する管理業務を行う義務があります。管理者を選任・解任した際には消防署に対する届出が必要です。
つまり、防火管理者選任届出は、『この建物・このお店の火災対策の責任者はこの人です!』と消防署に正式に届け出るための手続きということです。
▢防火管理者の業務
防火管理者に選任された者は、火災を発生させないように、そして火災が発生しても被害を最小限に抑えるように普段から管理をしなくてはいけません。
主だった業務内容としては、
- 消防計画の作成・届出
- 避難経路の管理、障害物の除去
- 消火器・設備の点検状況の確認
- 避難訓練・消火訓練の実施
- 従業員への防火教育
などを担います。
▢どんな建物で必要?
防火対象物使用開始届出と異なり、防火管理者の選任は全ての物件で提出が必要となるわけではありません。
建物の使用用途・建物の床面積・建物の収容人数等で必要かどうかが変わってきます。
例えば、飲食店として利用している店舗であれば、収容人数が30人以上となる場合には防火管理者を選任する必要があります。
この収容人数とは、入店できるお客様の人数(客席数)ではなく、従業員も含めた人数となってくる点に注意が必要です。
また、防火管理者にも資格の種類があり、建物の床面積が300㎡未満であれば乙種防火管理者の資格で足ります。
しかし、建物の床面積が300㎡以上となる場合には上位の資格である、甲種防火管理者が必要となってきます。
▢防火管理者の資格
防火管理者は、防火管理に関する業務を適切に行えるだけの知識と技術を有している方として『防火管理者』の資格を有している必要があります。
防火管理者の資格は、必要な学識経験を有すると認められる者(消防法施行令第3条第1項第1号ロ、ハ及び消防法施行規則第2条に定める者)の他、防火管理者講習を修了することによっても得ることができます。
防火管理者には甲種・乙種の2種類があります。
乙種は小規模店舗(300㎡未満)、それ以上の広さの店舗では甲種が必要となります。
店舗規模により甲種、乙種どちらが必要になってくるかが変わってくるため、事前にどちらの資格を取得すべきなのかを把握しておきましょう。
講習内容や講習時間、講習費用は甲種、乙種で異なっています。
◆甲種防火管理新規講習
講習時間:2日間
◆乙種防火管理講習
講習時間:1日間
▢いつまでに提出が必要か
防火対象物使用開始届出が『使用開始の7日前』なのに対し、防火管理者選任届出は『防火管理者を選任した日から遅滞なく』となっています。
遅滞なくという表現はあまり聞き馴染みが無いかもしれませんが、『事情の許す限り早く』という意味合いの言葉です。
つまり、防火管理者を選任したらできるだけ早く提出してね!というような感じになります。
ですので、特段の理由もなく、防火管理者選任後にいつまでたっても防火管理者選任届出を提出しない場合、消防署から指導が入る可能性があります。
▢提出先
防火対象物使用開始届出と同様に防火対象物使用開始届出の提出先は、事業所の所在地を管轄する消防署又は出張所となります。
▢必要書類
必要書類は浜松市のものを記載しております。自治体によって必要書類が異なる場合がございますのでご注意ください。
・防火管理者選任(解任)届出書
・甲種または乙種防火管理講習修了証
・消防計画作成届出書
・消防計画書
消防用設備等設置届出書
建物に新たに消防用設備等を設置したり、既にある消防用設備を改修した場合などに提出が必要となってくる届出です。
▢どんなときに提出が必要?
代表的なケースはこんな感じです。
- 建物を新築した
- テナント入居に伴い消防設備を新設した
- 用途変更により設備を追加・変更した
- 老朽化した設備を更新した
📌 ポイント
「消防設備に“工事”が入ったら、原則この届出が必要」と覚えると分かりやすいです。
▢対象となる消防用設備の例
- 消火器
- 屋内・屋外消火栓設備
- スプリンクラー設備
- 自動火災報知設備
- 非常警報設備
- 誘導灯
- 非常照明 など
▢提出期限
消防用設備等の工事が完了した日から、設置から4日以内に管轄する消防署へ届出を行わなくてはいけません。
▢だれが提出するか
この届出の提出を行う義務を負うのは『建物の関係者』となっております。つまり賃貸物件のオーナーやテナント入居者が提出義務者となります。
当然、飲食店等をご自身の所有物件でオープンする場合には事業主が義務者となります。
一部では、消防設備を設置した業者が代わりに届出を行っているようですが、先述した通り行政書士の資格を持たない業者が消防署への届出を代理することはできません。ご注意ください。
この他にも消防署への届出はいくつもありますが、今回は新たに飲食店などの店舗を始める際に必要となってくる主要な届出を紹介しました。
どの届出が必要になってくるかは、店舗を出店する地域や店舗規模、業種などによって変わってくるかと思います。
必要な届出の種類が分からない場合には、必ず専門家に相談するようにしましょう。
まとめ

新たに事業を始める際、営業許可の取得は真っ先に思いつく半面、消防署への届出は忘れられがち……そもそも存在を知らなかったという方も少なくありません。
しかし、これらは消防法で定められた義務となっています。届出を怠れば罰則の対象となり、事業へも影響がでる可能性があります。
ご自身のビジネスにおいてどのような許認可届出が必要なのかをしっかりと把握しておきましょう。
もしご自身で判断が付かない場合や届出を行う時間が足りない場合には、行政手続きの専門家である行政書士に相談するのも一つの手です!
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